スローボートで行く大河メコンの旅(1)

大河メコンは、チベット高原を源流にもち、中国雲南省を抜けて、ラオス・ミャンマーの国境を形成し、その後ラオス・タイとの国境を形成、ラオス国内を抜け、再びラオス・タイの国境を形成し、そしてカンボジア、ベトナムと抜けて海に注ぎます。その全長4,023キロにもなります。この大河の約300キロをスローボートに乗って2日間堪能する旅です。

日本人には、たぶん

  • 「地球の歩き方」にあまり詳しく掲載されていないこと。
  • 短期旅行が中心の日本人にはボートで2日間の移動は日程的に厳しいこと。

などの理由で人気がありませんが、長い日数をかけて東南アジアを周遊する欧米人バックパッカーには、大人気のコースです。私たちが乗ったボートは、100名ぐらい乗船出来たと思うのですが、乗客の9割以上が欧米人バックパッカーでした。年齢的にも20代と思われるバックパッカーがメインです。

東南アジアを周遊する欧米人バックパッカーは、タイのバンコクを起点にタイ国内を周遊し、タイ北部、チェンマイ、チェンライに滞在後、タイ北部チェンコーンからラオス側起点となるファイサーイに舟で渡ってきます。ここから2日間、途中パークベンで1泊して、世界的な人気観光スポットである世界遺産の古都「ルアンパバーン」を目指すわけです。その後、バンビエン、ビエンチャンを経て、南部ラオスに向ったり、ベトナムやカンボジアなどに抜けていくようです。楽しそうです。

ラオス国内を周遊するなら、ビエンチャンからウドムサイかルアンナムターに入り、トレッキングなどを楽しんだ後に、バスでファイサーイに入り、メコン河を下ってルアンパバーンに向かうと良さそうです。ただ、ウドムサイ、ルアンナムターのいずれからもバスでファイサーイまでは遠く1日がかりの移動になるので要注意です。

ファイサーイールアンパバーン-2

さて、この旅の様子を順番にお話したいと思います。

■ ファイサーイまでの行き方

ほとんどの人はタイ側の国境の町チェンコーンを経て、メコン河を舟で渡ってファイサーイに到着すると思います。タイとラオスの間は橋が架かっているところが多いので、舟で国境を越えるのは、ちょっと趣きがあってお勧めです。

□ チェンコーンへの行き方

チェンコーン行きのバス チェンコーンには、チェンライ、チェンマイなどからアクセス出来ますが、チェンライからが本数が多くて便利。チェンライもコンパクトな町でのんびりするのにいいところです。特にチェンマイが賑やかすぎると思う人にはお勧め。トレッキングツアーもたくさんあるので、時間があれば楽しみたいです。

チェンライからは、06:00-17:00の間に1時間に1本、毎時ちょうどに出発しています。チェンコーン行きは2系統あり、WIANG CHAI経由とTHOENG経由の2系統あります。バスターミナルの案内には、なぜかTHOENG経由の方だけに(Go to LAOS)と書いてあるので、そっちに乗りたくなるのですが、THOENG経由だと3時間半、WIANG CHAI経由だと2時間15分なので、WIANG CHAI経由に乗った方が良いでしょう。道路状態も良く、全く問題ありません。料金は65バーツでした。
□ チェンコーン市内からタイ側チェックポイント[イミグレ]まで

チェンライから到着したバスは、川に沿って街並みがあるチェンコーン市内から200mぐらい離れたところに到着します。(やや下流のところ)一方、イミグレは、メコン河いに沿ってある市内中心部を通過して、1キロぐらい上流にあり、バスを下車したところからは約2キロと離れています。チェンコーン市内はこれといった見どころもないようなので、イミグレまではバスを降りたところにいるトゥクトゥクに乗っていくのが良いと思います。ツーリストはほぼ全員イミグレにいくので「ボーダー(国境)」と言えば大丈夫。

□ お菓子などの調達

スローボートでは2日間で15時間ぐらいの旅になるので、お菓子などの食べ物はタイ側のセブンイレブンなどのコンビニで買っておくと良いです。ラオス側でも売ってますが、商品の種類も少なく、結局タイからの輸入品で割高です。チェンライ市内やチェンコーンのバスを下車したところにもセブンイレブンがあります。

□ タイ側イミグレ~ラオス側イミグレ

川に向かって下って行った左手の小さなオフィスがイミグレなのでここで出国手続きをします。すぐ下に降りたところに渡し船の乗り場があります。料金は40Bです。川幅はそんなに広くないので、国境を越えているなぁと感動している時間もないくらいあっと言う間に対岸に着きます。坂を少し登った右手にイミグレがあるので、今度は入国手続きを忘れずにします。特に出入国税はありませんでした。ファイサーイの町は、渡し船が着いたところがちょうど町の中心。中心といってもメイン通りは、200-300mぐらいしかありません。宿をさくっと決めて、まったりビアラオを飲みたいところ。

 

タイ側の渡し船乗り場、お金を払って下に停まっているボートで対岸に。対岸の町がファイサーイです。

チェンコーンの渡し船(1)

あっと言う間にラオス側に到着、右手の建物がイミグレ。

チェンコーンの渡し船(2)

(2011/07/24)

スローボートで行く大河メコンの旅(2)

■ ファイサーイでやること

ファイサーイに着いたらまず行うことは、

  • 宿を決めること。
  • スローボートのチケットの手配
  • ラオスの通貨キップへの両替

です。

□ 宿を決める

宿は、舟で渡ってイミグレで入国手続きを済ませたところの短い坂を登るとメイン通りにぶつかります。ここに7,8件ゲストハウスがあるので、「地球の歩き方」、「ロンリープラネット」などのガイドブックを参考にゲストハウスを決めると良いと思います。

 

ファイサーイ市内の様子、見えている範囲でほとんど中心部の全体です。

チェンコーン市内の様子

 

□ スローボートのチケットの手配

最初はスローボートの船着場まで行かないと手配出来ないのかな、と思ってましたが、ゲストハウスにチェックイン時、スローボートのチケットは手配する?と聞かれたので、そのまま手配をお願いしました。イミグレからメイン通りに出るまでの坂の途中にも「スローボートのチケット」の看板があるので、ここで購入しても良いのかも知れません。いずれにしても、ファイサーイの旅行客のほとんどはスローボートに乗船するので、ゲストハウスに聞くのが一番良さそうです。たぶん、どこで手配しても同じではないかと思います。スローボートの値段はファイサーイーパークベン、パークベンールアンパバーンの2日間のボート代と、スローボートの船着場(市内から1.5キロぐらい離れている)までのトゥクトゥク代込みで一人1,000B(2,700円)でした。ボート代の公定価格は、2日間で220,000キップです。バーツ換算で850Bで、これにトゥクトゥク代+手数料になると思いますので、妥当な価格だと思います。

□ ラオスの通貨キップへの両替

もし時間があれば、メイン通りにある銀行で両替してキップを手に入れておきましょう。ファイサーイ、パークベンなどゲストハウスなどでは問題なくバーツや米ドルが利用出来ます。ゲストハウスなどでは宿代を最初からバーツ価格で言われたりするぐらい。ただ露店や雑貨屋さんでちょっとしたものを買うときはキップの方が無難です。

■ ファイサーイを出発

出発 ゲストハウスとかで手配するとトゥクトゥクがゲストハウスにピックアップに来てくれます。午前9時30分にピックアップで、船着場までは10分ぐらいなので、午前10時前には乗船出来ています。ただ、ここからが長くて、スローボートが出発するのは午前11時?正午ぐらいです。(私たちのときは、正午過ぎに出発。)

たぶん、ボートの混み具合とか季節(日没の関係)によるんだと思います。チェンコーンから当日ラオス側に渡って、空いていれば、そのまま乗船することも出来るので、ボートも日没に間に合う時間ギリギリまで待っているんだと思います。ファイサーイーパークベン間は約136キロで、所要時間は約7時間です。(私たちのときは水位が高く川の流れも速かったこともあってか6時間で到着。)

 


スローボート内の様子、写真では空いてますが、出発時には雨季のシーズンオフにも関わらず満席でした。

スローボート(1)

□ 乗船時は注意

スローボート(2)

乗船時、私たちのときは、細い渡し板の上を歩いて乗船しなければならず、荷物を抱えているのでちょっと緊張しました。大丈夫かなと思っていたら、やはり欧米人の年配の女性バックパッカーの人がバランスを崩して水の中に落ちてしまいました。水は膝程度までの深さで浅いです。
モノとかにつかまろうとせずにバランスをとって渡るのがコツです。

(2011/07/25)

スローボートで行く大河メコンの旅(3)

■ スローボートの旅の様子(ファイサーイ~パークベン)

 
スローボートの様子(1) スローボートが出発したら、あとはのんびりです。欧米人は、前や後ろに空いたスペースに足をのばしてくつろいでいる人もいます。本を読んだり、音楽を聞いたり、おしゃべりしたり、川の風景を眺めたり、人様々です。ファイサーイから途中の中継地点のパークベンまでは約136キロで、時速20-25キロでボートは走行し、約6-7時間で到着します。ボートは揺れはほとんどなく、快適です。なので、読書とかしても船酔いになりにくいです。ただ、私たちは雨季で暑い時期なので走行している風が入って気持ちが良いのですが、乾季特に12月から2月ぐらいまではかなり涼しく、ボートだと寒いと思いますのでその時期に旅行される場合は寒さ対策を忘れずに。

ボートの椅子は、車のシートを改造したものなので、このボートにうまく当たれば快適な旅になると思います。もう一つ、木の椅子のタイプもあるようで、これだとお尻が痛くなるので、ロンプラなどのガイドブックにクッションをあらかじめ買っておいた方が良いというアドバイスがあるためか、クッション持参の欧米人も結構いました。私たちのボートは、ファイサーイ・パークベン間、パークベンールアンパバーン間もボートは異なるもののクッションが効いたシートだったので快適でした。

スローボートの様子(2) ボートは、現地のラオスの人も利用するため、その人たちが、乗船・下船するときだけ停泊しますが、基本的にノンストップです。スローボートの中にはトイレもあります。また、ビールやコーラなどの飲み物やポテトチップスなどのスナックなども物売りがやってくるか売店があって買うことが出来ます。ファイサーイ・パークベン間は、途中で物売りの子供たちが乗り込んで売っていて、パークベン・ルアンパバーン間は、ボートの後ろに小さな売店があって、そこで買うことが出来ました。ただ、売店はあったら便利ぐらいに思っておいて飲み物や食べ物などは事前に買っておいた方が良いでしょう。というのも、私たちが乗船したのは雨季のシーズンオフ、バカンス前だし空いていると思ったのにそれでも満員です。ハイシーズンには今以上の人が訪れると思いますので、足の踏み場もないほど混み合うこともあるようです。
■ パークベン

夕暮れどきにパークベンに到着します。パークベンの桟橋には、ゲストハウスの人が案内の看板を持っていますので、適当な宿を選んで宿泊することになります。ボートは、徒歩ですぐに移動できる町の真ん中に到着します。といってもパークベンの町も非常に小さく、メインの通りは100mぐらしかありません。ゲストハウスは、船着場から登った坂道のメイン通りのところと、川沿いに数件ある程度です。気になるのは、パークベンのゲストハウス数と旅行者の数で、ハイシーズンになるとギリギリか足りないんじゃないかと思います。なので、パークベンに着いたら、すぐに宿を確保するように動いた方が賢明です。もし、荷物がすぐピックアップ出来ないようなら、先にゲストハウスの人と話をして宿を確保しちゃいましょう。

パークベンの船着場。ボートの到着に合わせてゲストハウスの人が降りてきます。
坂を登った正面が町の中心です。

パークベンの船着場

パークベンまで乗船してきたスローボートです。

スローボート

町の中心です。見えているところでほとんど全てです。 ゲストハウスはこの通りと、坂を登って左手に折れた川沿いのところに数件あります。

パークベンの町の様子

(2011/07/26)

スローボートで行く大河メコンの旅(4)

■ スローボートの旅の様子(パークベン~ルアンパバーン)

いよいよ2日め、前日に2日目の午前9時までに乗船とのこと。ギリギリに乗船するのは危険なので1時間前ぐらい早めに目指すとしても午前8時なので、朝はゆっくりと朝食が食べれます。午前8時に船着場に着くとバックパッカーの人も早めに来ていて乗船している人も結構いました。前日の席と同じ場所に座ろうとしたけど、すでに別のバックパッカーの人が座っているので、ボートの中ほどの席を取りました。この日のボートも自動車の座席シートタイプなので、快適。ボートは午前9時半過ぎに出発。初日と違い、ほぼ同じメンバーなので、客待ちもなくスムーズな出発でした。

IMG_0685_edited-1 ボートから見える川の景色は昨日とほぼ同じです。パークベンからルアンパバーンまでは、約160キロあります。所要時間は、約9時間といったところ。緑深い山々の間に村が点在しています。カム族とかの村ではないかと思います。今回、ちょっと残念だなぁと思ったのが、雨季なのでメコン川の水位が高いため川辺がほとんどなくて、乾季ならよく見られる水辺で子どもが遊んだり、水牛を放牧しているシーンなどがあまり見られなかったことです。

この日のランチはゲストハウスでチャーハンをランチボックスとして作っておいてもらったので、美味しくいただきました。

 

スローボートからの眺め(1)

スローボートからの眺め(2)

ぜひ見逃さないでほしいのが、到着1時間前のルアンパバーンから25キロ上流にあるパークウー洞窟のところ。ルアンパバーンのオプショナルツアーで大人気のところです。普通は、ルアンパバーンからスローボートで1時間かけてやってきて見学するところをボートからですが、チラリと見ることが出来ます。

近くになると次のような山が見えてきます。

スローボートからの眺め(3)

 

左側の大絶壁は、支流ウー川の入口。これが見えたらすぐに進行方向右手を見ると、

スローボートからの眺め(4)

パークウー洞窟が見えます。

スローボートからの眺め(5)

観光で立ち寄るわけではないので、あっという間に通り過ぎてしまいます。欧米人のバックパッカーは「プリティ・サプライズ!」といって喜んでました。パークウー洞窟を過ぎるとボートは約1時間でルアンパバーンに到着します、

■ルアンパバーンに到着

この日は、水位が増して川の流れも早かったこともあり、午後4時半過ぎにボートはルアンパバーンに到着です。所要時間は7時間半でした。ルアンパバーンの船着場は、ちょうど国立博物館のすぐ裏手になります。なので、ルアンパバーンの市内の中心になるので、この近辺の宿を確保するとほとんど移動なく便利かも知れません。

正面の仏塔が見える山がプーシーです。ルアンパバーンの町が一望出来ます。

IMG_0752_edited-1

これで、楽しい2日間のスローボートの旅は終わりです。ルアンパバーンはレストランもいっぱいあるので、ぜひ美味しいものを一杯食べてまったりしましょう。

(2011/07/27)